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弁護士 小田 康夫
2022.05.06
2022.05.06
デジタル化推進事業の両輪としてのロングトレイル事業
先日、中標津町のトーヨーグランドホテルに、北海道知事(鈴木直道氏)が来訪し、若手経営者らと語らうという企画が開催され、私も参加してきました。
「デジタル時代だから、北海道にデータセンターを創ろう」
「データセンターには電力が必須。中長期的な安定原減を考えていこう」
「北海道を東京や世界に売りだすブランディングをしよう」
積極的な提案をされて、北海道には明るい未来がある、私も一道民として感じました。面白い話だったので、私も知事に中標津の魅力をプレゼンしようと思い、
「知事の趣味は何ですか」
と聞いてみました。「温泉」という話がでてきたので、中標津町には、知る人ぞ知る「養老牛温泉があって、『湯宿だいいち』という素晴らしい温泉宿があるので、ぜひ立ち寄ってください」という話をしました。
この話をとっかかりにして、温泉地と温泉地をつなぐ道、ロングトレイル構想について、プレゼンをしました。「この広い道東で、私が思い描いているのは、ロングトレイル(車は走行できない、人が歩く専用の道)を創りたい」「スマホ時代・デジタル社会で超速の時代には取り残されたり、デジタルの中だけで孤独を感じ病気になったりする人が増える時代になる。そんな時代にはゆっくり地に足をつけて活動することがとても大事です」「知事もぜひ興味を持ってほしい」というような話をしてみました。
知事は、私の話に興味を持ってくれた様子で(少なくとも私にはそう見えました。)、北海道でも、地域の観光資源を利活用することで、短期的な滞在ではなく、長期滞在をすることができる事業の推進をしているという話をしてくれました。
知事との質疑応答を離れますが、ロングトレイル事業は、デジタル時代・スマホ時代には無くてなら
ないものであると考えています。というのも、デジタル時代は、スマホだけで完結する時代であるがゆえに他者との関係を結ばずにコミュニケーションが完結してしまい、便利であるがゆえに、人と人との結びつきは減少していくように思います。SNSなどのつながりは、孤立を埋めるどころか、孤立と依存を拡大再生産させることが良くニュースでも取り沙汰されています。デジタル時代とスマホによって(ここ1、2年ではコロナの外出自粛によっても加速しましたが)、将来は、さらに個人の孤立化が加速していくことになるのではないかと思います。
こんな時代に必要なのは、ロングトレイルや登山などの自然との触れあいでしょう。というのも、個人が孤立することは、避けられない以上、個人が生きる上で必要なサバイバル能力(肉体的なものも精神的なものも含めて。)を養う場が必要だからです。そのような環境に身を置くことは、肉体的な能力を高めると同時に、孤立に打ち克つ個人の精神性を高めることに役立つことは間違いありません。自然に触れあう体験の中でもロングトレイルは、ゆっくり一歩一歩、歩かなければなりません。最短・最速で行けば確かに合理的ですが、合理性のみが人間が生きる上で必要な要素というわけではありません。目的地到達という目的からすれば一見、不合理ですが、ゆっくり一歩一歩、歩いてみることで、
・初めて見える美しい景色に感動する
・草木のにおいやエネルギーを身近に感じる
・デコボコ道を乗り越えることで汗をかき、達成感を感じる
肌身に感じる身体感覚は、唯一無二のものです。
ロングトレイルや登山をすることは、デジタル化が進む社会で忘れ去れられつつある、動物としての身体感覚を取り戻し、アナログな世界との結びつきを再確認することが可能となるように思います。社会が超高速化・超合理化する時代に、歩くというゆっくりとした活動が可能な環境、より抽象的に言えば、アナログで危険でやや不合理な環境を、インフラとして、意識的に社会に残しておく活動が必要ではないか。むしろ、デジタル社会の推進とアナログな自然環境のインフラ整備は、社会の両輪として環境設計が必要なのではないかと考えています。
「デジタル化は孤立を加速させる」と言いましたが、日本のおとなりの台湾では、孤立しがちな少数者の声を、デジタル技術を駆使しながらうまく拾っているようです。例えば、オンライン上で有名な20代から35歳以下の若者を、閣僚レベルの青年諮問委員会に迎え、彼らがアドバイザーとなり、閣僚たちを教育する、という制度があるようです。また、デジタルプラットフォームを創り、数のチカラが弱く国政に届きにくい若者の声も、届きやすくする仕組みがあるようです。
日本でも、デジタル化と民主主義をつなぐ仕組みがあれば、老若男女、小さな声でも国政にいかされる、と言うことが可能となります。ロングトレイルの活動も、小さな街の小さな取り組みにすぎませんが、ボトムアップで声を上げ、可視化していくことは、政治プロセスに組み込む一歩になるように思います。
・小さな事業を継続し、声を上げることで、社会の課題を見える化する。
・デジタル化を進める中でも、少数者の声を拾い上げる仕組みを創る。
・デジタルとアナログをつなぎ、超高速・超合理的なデジタルの中でも、小さくて地味なアナログの取り組みも活性化させる。
デジタル化と田舎町のロングトレイルの維持というアナログの取組は、一見無関係で、相矛盾するようなものに見えるかもしれません。しかし、その両者を両立可能な関係に再構築していくことが未来の北海道をより明るくするではないかと考えています。
時間があれば、こんな話を知事にぶつけてみて、知事と議論したかったのですが、時間がなく、議論がかないませんでした。また次の機会があれば、議論をしてみたいと思いますし、(ゆくゆくは政治を動かせるよう)私も市民レベルで仲間を増やし、地域のロングトレイル事業を復活させる運動を進めたいと考えています。
「デジタル時代だから、北海道にデータセンターを創ろう」
「データセンターには電力が必須。中長期的な安定原減を考えていこう」
「北海道を東京や世界に売りだすブランディングをしよう」
積極的な提案をされて、北海道には明るい未来がある、私も一道民として感じました。面白い話だったので、私も知事に中標津の魅力をプレゼンしようと思い、
「知事の趣味は何ですか」
と聞いてみました。「温泉」という話がでてきたので、中標津町には、知る人ぞ知る「養老牛温泉があって、『湯宿だいいち』という素晴らしい温泉宿があるので、ぜひ立ち寄ってください」という話をしました。
この話をとっかかりにして、温泉地と温泉地をつなぐ道、ロングトレイル構想について、プレゼンをしました。「この広い道東で、私が思い描いているのは、ロングトレイル(車は走行できない、人が歩く専用の道)を創りたい」「スマホ時代・デジタル社会で超速の時代には取り残されたり、デジタルの中だけで孤独を感じ病気になったりする人が増える時代になる。そんな時代にはゆっくり地に足をつけて活動することがとても大事です」「知事もぜひ興味を持ってほしい」というような話をしてみました。
知事は、私の話に興味を持ってくれた様子で(少なくとも私にはそう見えました。)、北海道でも、地域の観光資源を利活用することで、短期的な滞在ではなく、長期滞在をすることができる事業の推進をしているという話をしてくれました。
知事との質疑応答を離れますが、ロングトレイル事業は、デジタル時代・スマホ時代には無くてなら
ないものであると考えています。というのも、デジタル時代は、スマホだけで完結する時代であるがゆえに他者との関係を結ばずにコミュニケーションが完結してしまい、便利であるがゆえに、人と人との結びつきは減少していくように思います。SNSなどのつながりは、孤立を埋めるどころか、孤立と依存を拡大再生産させることが良くニュースでも取り沙汰されています。デジタル時代とスマホによって(ここ1、2年ではコロナの外出自粛によっても加速しましたが)、将来は、さらに個人の孤立化が加速していくことになるのではないかと思います。
こんな時代に必要なのは、ロングトレイルや登山などの自然との触れあいでしょう。というのも、個人が孤立することは、避けられない以上、個人が生きる上で必要なサバイバル能力(肉体的なものも精神的なものも含めて。)を養う場が必要だからです。そのような環境に身を置くことは、肉体的な能力を高めると同時に、孤立に打ち克つ個人の精神性を高めることに役立つことは間違いありません。自然に触れあう体験の中でもロングトレイルは、ゆっくり一歩一歩、歩かなければなりません。最短・最速で行けば確かに合理的ですが、合理性のみが人間が生きる上で必要な要素というわけではありません。目的地到達という目的からすれば一見、不合理ですが、ゆっくり一歩一歩、歩いてみることで、
・初めて見える美しい景色に感動する
・草木のにおいやエネルギーを身近に感じる
・デコボコ道を乗り越えることで汗をかき、達成感を感じる
肌身に感じる身体感覚は、唯一無二のものです。
ロングトレイルや登山をすることは、デジタル化が進む社会で忘れ去れられつつある、動物としての身体感覚を取り戻し、アナログな世界との結びつきを再確認することが可能となるように思います。社会が超高速化・超合理化する時代に、歩くというゆっくりとした活動が可能な環境、より抽象的に言えば、アナログで危険でやや不合理な環境を、インフラとして、意識的に社会に残しておく活動が必要ではないか。むしろ、デジタル社会の推進とアナログな自然環境のインフラ整備は、社会の両輪として環境設計が必要なのではないかと考えています。
「デジタル化は孤立を加速させる」と言いましたが、日本のおとなりの台湾では、孤立しがちな少数者の声を、デジタル技術を駆使しながらうまく拾っているようです。例えば、オンライン上で有名な20代から35歳以下の若者を、閣僚レベルの青年諮問委員会に迎え、彼らがアドバイザーとなり、閣僚たちを教育する、という制度があるようです。また、デジタルプラットフォームを創り、数のチカラが弱く国政に届きにくい若者の声も、届きやすくする仕組みがあるようです。
日本でも、デジタル化と民主主義をつなぐ仕組みがあれば、老若男女、小さな声でも国政にいかされる、と言うことが可能となります。ロングトレイルの活動も、小さな街の小さな取り組みにすぎませんが、ボトムアップで声を上げ、可視化していくことは、政治プロセスに組み込む一歩になるように思います。
・小さな事業を継続し、声を上げることで、社会の課題を見える化する。
・デジタル化を進める中でも、少数者の声を拾い上げる仕組みを創る。
・デジタルとアナログをつなぎ、超高速・超合理的なデジタルの中でも、小さくて地味なアナログの取り組みも活性化させる。
デジタル化と田舎町のロングトレイルの維持というアナログの取組は、一見無関係で、相矛盾するようなものに見えるかもしれません。しかし、その両者を両立可能な関係に再構築していくことが未来の北海道をより明るくするではないかと考えています。
時間があれば、こんな話を知事にぶつけてみて、知事と議論したかったのですが、時間がなく、議論がかないませんでした。また次の機会があれば、議論をしてみたいと思いますし、(ゆくゆくは政治を動かせるよう)私も市民レベルで仲間を増やし、地域のロングトレイル事業を復活させる運動を進めたいと考えています。