元日のしきたり
1 年が明けて半月が過ぎました。
暦の並びでお正月休みが9連休となった人もいるかと思いますが、終わってみるとあっという間だったのではないでしょうか。
私は、例年だと大晦日と元日は家でゆっくり過ごし、2日から札幌などに遠出するスケジュールですが、今回のお正月は小さい子どもがいることもあり、遠出をすることもなく妻の実家でゆっくり過ごしました。
2 元日にゆっくり過ごしていると子どもの頃に祖父母から言われた言葉を思い出しました。
それは、「元日にはお金を使ってはいけない」というしきたりです。
子どもの頃、元日にお年玉をもらい今すぐにでもほしいものを買いに出かけたいとねだったところ、元日にお金を使うとこの一年財布からお金が出て行くことになるため使ってはいけないと言われているとたしなめられました。
そこで私の家では、元日は挨拶や初詣以外に出かけることはせずに、2日以降に買い物へ出かけていました。
今思うと大学生になるまでは、元日に初詣での御賽銭以外にお金を使ったことはありませんでした。
大学生以降になると、買い物に出かける交通手段も確保できますし、友人との付き合いの関係から元日に出かけることも多くなりました。家から出ると様々な理由でお金を使ってしまいます。
しかし、今でも元日にお金を使うときに、祖父母から言われた言葉を思い出して、後ろめたい気持ちになります。
3 元日にしてはいけないことはお金を使う以外にもあります。
・掃除をしてはいけない(神様、福、運気を(ほうきで)掃き出してしまうため)
・入浴や水仕事(洗い物や洗濯など)をしてはいけない(運が水で流れてしまうため)
・刃物を使ってはいけない(「縁を切る」に繋がることや今年一年怪我をしないように)
元日にしてはいけないとされるものの中には、毎日休むことなく家事をしている者に、少しでも楽をしてもらいたいという意味が込められているようです。
4 お金を使ってはいけないという話に戻りますが、古臭い迷信だと一蹴する人もいるかもしれません。
もちろん、しきたりを重んじるのかどうかは人それぞれですが、私は元日にお金を使わないということは浪費をしないということに繋がっていると思います。
子どもは、お正月はお年玉をもらうと手元に大きなお金があるため、今すぐにでもほしいものを買いに行きたいという衝動に駆られます。
ほしいものがあるのに手元にお金がない場合と手元にお金がある場合とでは、手元にお金があるほうが自制をしなければならず我慢強くなると思います。
たとえ1日だけでもそのような我慢ができたのであれば、していない人に比べて、衝動買いの抵抗を感じ慎重にお金を使うことになり、その一年間無駄遣いをしないことになるのではないかと思います。
5 現在社会は人々の生活スタイルも様々で、元日から仕事をしている人もいますし、元日からお金を使う人もいます。昔から言い伝えられてきたしきたりをすべても守ることは難しいです。
それでも、日本人は古くから、新年を迎えた元日を一年の中でも特別な日として扱ってきました。その中で言い伝えられてきたのが紹介した様々なしきたりです。
仮にしきたりを守ることができないとしても、しきたりの意味を心にとめて日常生活を送ることも大切だと考えています。
私の子どもにも、祖父母から言い聞かされた「元日にはお金を使ってはいけない」というしきたりを伝えていきたいと思います。