迷惑メールとの闘い
1 2022年6月のとある日、いつも使っているメールアドレスへとあるメールが届きました。
差出人は仕事上でやり取りをすることもある団体名が表示されていました。
メールは複数送られてきており、本文には「御確認お願いします」、「添付ファイルの解凍パスワードをお知らせします。パスワード○○○○」などが記載されてファイルが添付されていました。
一見して迷惑メールであり、ファイルを開いてしまうとウイルスに感染してしまうため一切無視することにしました。
その後、この迷惑メールは、他の法律事務所の弁護士にも送られていることが判明しました。送り主も団体名ではなく、実際にいる弁護士の氏名が表示され、アドレスはその弁護士の本当のアドレスに近いものとなっていました。
名前を使われた弁護士から、迷惑メールなので絶対に添付ファイルを開かないでくださいという案内がなされました。
この騒動もしばらくすると落ち着き迷惑メールも一切来なくなりました。
2 思えば迷惑メールとの闘いは、今から20年少し前に携帯電話を持ちEメールを利用したときから続いています。
携帯電話を持つようになった当時、迷惑メールはあまり届いた記憶はないのですが、数年経つにしたがって頻繁に迷惑メールが届くようになりました。
メールの内容は、出会い系や投資に関するものでした。
迷惑メールに表示されているURLをクリックしてしまうと、その端末でアクセスしたことが業者に伝わってしまいます。そして、大量にメールが届くようになったり、変なサイトを開いたことで閲覧料や情報料を不当に請求されてしまいます。
誤ってURLをクリックしてしまい、お金を請求されているがどうしたらよいのかという法律相談も対応したことがあります。
一番の対策はほっておくことになるのですが、ときには怖くなって支払ってしまったという人もいます。実際にアダルトサイトを閲覧したこともあり、アダルトサイトの利用料金を支払えという架空請求に応じてしまったパターンもあります。
残念ながら支払ったお金を取り戻すことは極めて難しいのです。
3 私の携帯電話のアドレスは、5文字と短いこともあり、業者としても送りやすいのか、一晩で数十通迷惑メールが届いたこともありました。
これから寝ようとしたところ、数分おきに迷惑メールが届いたことを知らせる着信音が鳴り、とても寝られる状況ではないため、電源をオフにして寝たこともありました。
2009年、電子メール全体に対する迷惑メールの割合は70%となり、迷惑メールは社会問題になりました。
国も対策に乗り出して、「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」が制定され、制定後も何度から改正され法規制がなされました。
例えば、受信者の事前の承諾がなければ送ってはならない、送るメールには送信者の情報を表示することを義務付けることを規律し、業者に対する罰則も強化されました。
正規な業者は法律に従って対応するようになりましたが、まともではない業者はこれまでどおりに受信者の承諾がないのに大量の迷惑メールを送り続けていました。
一方携帯電話会社も迷惑メール対策に取り組んでおり、登録したメールアドレスやドメイン(メールアドレスの@以降が一致している場合)以外からのメールは受信できないように設定することも可能になりました。
この設定により私の携帯電話に届く迷惑メールは激減し、夜ゆっくり寝られるようになりました。
ガラケーからスマホに帰ると、パソコンのように迷惑メールが自動的に仕分けされるようになり、更に快適になりました。
しかしどのような仕組みで届くのかわからないのですが、今でも変なメールがときどき届くこともあり、迷惑メールを送る業者とその対策はいたちごっこと感じます。
4 迷惑メールの中には、内容が巧妙となっており、内容に騙されて返信やURLをクリックしてしまうものがあります。
裁判所を名乗って債権回収の裁判を受理したのですぐに連絡を取るようという迷惑メールが届いたこともあります。
法律関係者は裁判所がメールでこのような連絡することはあり得ないので一見して迷惑メールだと理解できますが、誤って連絡を取ってしてしまう人もいると思うくらい巧妙な作りとなっていました。
実は私も一度だけ引っ掛かってしまったことがあります。
登録されていないアドレスから届いたもので本文は「携帯変えました。元気ですか」というものです。知り合いがアドレスを変えて報告してくれたと思って、「誰ですか」と返信したところ、「間違えてメールを送ってしまいました。でもせっかくなんでこの機会に仲良くなりましょう」とメールが返ってきました。この時点で怪しいと思いそれ以上、返信はしませんでした。調べてみたところ、やり取りを続けていくと怪しいサイトに誘導されるとのことです。
最近送られてきた迷惑メールとしては、「何度かお電話したのですが、日付も近いので折り返し連絡をいただけますか。下は3817でよかったですよね?」というメールもありました。思わずどなたですかと返信してしまう内容となっています。
またこれは妻の話になりますが、妻の携帯に「同窓会来られそう?」というメールが来て返信してしまったところ、そこから個人情報を聞き出すメールが届いたため、返信を止めると「急いでいるんっだって。何で返信よこさないの?」というメールがしばらく届きました。
いくつか紹介しましたが、知り合いと勘違いさせるような迷惑メールもあります。気を付けないとつい対応してしまうので注意が必要です。
なお出会い系サイトに関するもので、「寂しくなったからまた会いたい」、「今度いつ会えるの」という迷惑メールをこれまで数え切れないくらい受信したことがありますが、人に見られたら誤解されるような内容のメールであり本当に迷惑と感じました。
5 ネットを使って連絡を取る手段としてはEメールが主流でしたが、プライベートでスマートフォンを利用する場合にはLINEなどのコミュニケーションツールやSNSのメッセージ機能が主流になってきています。
しかしこの場合でも、怪しい業者から友達申請がきたりメッセージが送られてくるなど迷惑行為がなくなったわけではありません。
怪しい者からの連絡をシャットアウトするためにフィルター機能を活用するなど自分のスマートフォンのセキュリティはこれからも自分で守っていかなければなりません。迷惑行為を行う業者との闘いはネットがある限り終わらないのかもしれません。